医療療倫理小委員会の米国調査報告第8回、 Carol Taylor 先生のお話しです。(前回、終わり、と書きましたが追加です)
インフォームド・コンセント時の重要な9つの事項をまとめた文書があります。大事なことは、意思決定ができるか、必要な情報を理解しているかです。医療従事者とコミュニケーションがとれるかどうか、代替的方法があるとしたらその理由や、それが合理的な価値観に基づいているかどうかが大事です。
1番目に、適切な意思決定をする人が誰かを決めることです。意思決定をする能力があるか、道徳的・法律的に有効な代理人を決定する事です。
2番目は、顔と顔をつき合わせて話しをしてください。ちゃんと集中できている状態、痛みのない時に話し合いを持って下さい。3番目は、自分の意志でコミュニケーションをしているということを見極めて下さい。
4番目の情報開示では、提案された手技の性質や目的、危険性や結果、便益、成功する確率、実行可能な代替法、提案した治療や手技が行われない時の予後などです。5番目は、推薦すべき方法を提案してください。
6番目は、ちゃんと理解しているかどうか確認して下さい。細かく噛み砕いて情報を提供して、ちゃんと理解しているかどうか途中で確認して下さい。「いま私が言ったことを、ご自分で言ってみて下さい」と、繰り返してもらう事が重要です。
7番目は、患者さんから感情的な反応があったら、それをちゃんと観察して下さい。その反応に心を込めて答えて下さい。8番目は、患者または代理人の決定であるということを確認して下さい。最後に、話しを要約した後で、「何か質問がありますか?今度はいつお話しをしましょうか?」とはっきりといってください。
テーラー先生のお母さんが、まだ確立していない方法で心臓の手術をする事になりました。4人の人に話をしてもらったのですが、レジデントが最後に「どういうことをするか分かりましたか?繰り返して下さい」と聞いたのです。すると「私はこの手術によって、 75%はいい結果が得られるが、25%は死ぬでしょう」と答えました。しかし誰も「25%は死ぬ」とは言っていませんでした。75%よい結果が得られるという説明を聞いて、患者が勝手に100から75を引いて、「残りの25%は死ぬ」という判断をしたのです。最後のレジデントの質問は、とても大事な質問でした。
(次号はNeillさんの項です)