アメリカで最先端の患者の権利を調査研究してきました(第9回)

米国調査報告第9回 Kathleen Neill さんのお話しです。ニールさんは、ナーシングサイエンスという分野での博士号を持っている看護師で、臨床生命倫理センターの clinical liaison です。

今回の講義内容は、主として、薬剤治験時における患者の権利を守る仕組みについてです。ジョージタウン大学は、NIH(国立保健研究所)と共同して薬剤治験を行うこともあるそうです。

Kathleen M. Neillさん

Kathleen M. Neillさん

治験におけるインフォームド・コンセントを考える時、以下の3つの点が重要です。患者を尊重( respect )する事、患者に便益( beneficence )をもたらす事、そして公平さ( justice )です。

患者の尊重と言う点では、2つの面を考えないといけません。一つは個人により決定が自主的になされている事、自主的に決定できない人の場合には特別な保護が必要です。この2つがあって、はじめて患者が尊重されていると言えます。

臨床研究を行うに当っては、自主的にボランティアとして参加していただく方が害を受ける事があってはいけないので、害から守る事が大事です。そして、便益(利益)は最大限に、リスクは最小限にしないといけません。

公正さと言う点では、研究の対象となる被験者は、負担があるが便益もあるので、これが社会の中で公平に配分されなければいけません。つまり、被験者の選択の過程でも公正さが必要です。便益があるような治験は自分の好みの人に回し、危険なものはそうでない人に回す、といった不公正さがあってはいけません。米国では連邦法で臨床治験に関して、いろいろ規定をしています。

consent と、 assent と区別します。 consent とは、法律的に有効な同意で、被験者が同意する、または被験者が法律的に権限を与えた代表者が合意する事で、被験者に与えられる情報は、理解できる言葉で書かれたもので与えられ、それに基づいて同意したものが consent です。

assent は、子供にわかる言葉で説明して合意してもらうか、両親又は保護者の合意です。7才までは連邦法に基づく公式の書式があり、それに従って合意を得なければいけません。

児童を被験者とする場合は、リスクが最小限であること。日常生活の中で出会うリスクより大きなものであってはいけないという事です。

合意の前提として、予め情報を知らされている事、それが理解されていること、そして、自発的なものでなければいけません。臨床的な面でどのように使われているのか、これ以外の代替治療があるのか、便益とリスクはどうか、治療と効果の不確実さ、などを評価しながらみていかなければいけません。

(つづく)

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