米国調査報告第14回、 Ann Neale さんのお話です。
あらゆる人種・宗教を尊重して、文化的な面でも受け入れるという能力が必要です。日本のように単一民族なら、「あらゆる人を受け入れます」というのは簡単でしょうが、首都ワシントンには30の異なった人種がいます。ですから、通訳が必要だし、通訳を通じて聞いた話によって文化を理解する能力が必要です。 Caregiver からみた問題が、日本では他にあるのでしょうか?今お話しした観点以外にあるのかどうか、是非考えてほしいと思います。
ところで、米国では医師がきちんと資格(技量)を持っているかどうかを確かめるという行為が行われます。医師がきちんと医療行為を行っていないと、米国では、改善するまで誰かがついてトレーニングを行います。毎年1回そういう過程があります。その時に見るのは、外科医なら手術の成功率や手順書にのっとって仕事をしているかを査定されます。医療行為の質だけでなく、患者への対応も見ます。それを見るのは、その部署の責任者 (head )です。大事なことは、すぐにクビにするのではなく、再トレーニングをやって、一定の猶予期間を持たせている事です。
こういった仕組みは当たり前の事だと思います。医療機関を名乗る、人を治療する機関、質の高い機関と名乗るのであれば、資格を持っているだけではなく、質のよいスタッフを揃えないといけません。入職した時だけでなく、継続的にその質を保つようでないといけないのは、当たり前の事です。
医療機関は、医療行為を行うだけでなく、雇用主として道徳的な責任を持つと言う事も重要です。医療組織がもし、雇用者としての責任を全うしないのであれば、患者に対するケアもきちんと行えないでしょう。
医療をきちんと行うこと、雇用主としての責任、社会に対する責任ある企業としてそれらを全部行いたいのだが、バランスをとらなければいけません。全部OKという訳には行かないのです。例えば従業員に余りに高い給料を払えば、医療器械を買うお金が減り、治療の質が下がるかもしれません。ですから、優先順位を付けなければいけない事になります。
ビジネスパートナーという観点から見た組織。仕入れ先はビジネスパートナーです。製薬会社や医療機器の会社もビジネスパートナーです。こういうパートナーとの関係は、公正で正直、尊敬を払って関係を築いて行かなければいけません。その関係と言うのは、コミュニティーをよくする方向に向かなければいけません。患者に奉仕するという観点で、関係を結ばなければいけません。
(つづく)