アメリカで最先端の患者の権利を調査研究してきました(第13回)

米国調査報告第13回、 Ann Neale さんのお話です。

医療組織がモラルの面でよい組織であるというのは、リーダーだけがモラルが高いというだけではダメで、個々人が倫理的に高い行為を行えるような政策や方針を、組織全体が持っているかどうかが大事です。病院にすばらしい経営者がいて、モラルが高い人だとしても、組織としてよい方針やよいやりかたを持っていないと、よい仕事を全うする事はできません。

組織というのは、モラルや責任といった事について、真剣に考えなければいけません。それに基づいて、様々な資源や、資格のあるスタッフなどのインフラを提供する事が出来ます。モラルに対する責任が必要だという事です。

その事により医療のニーズに応える、患者に対するよいケアを促進する事ができます。そういう事が出来ないのなら、臨床家は患者によい事、よいケアは出来ません。組織が出来ない事は、臨床家もできないのです。

アン・ニールさんへのsmall present

アン・ニールさんへのsmall present

真ん中に医療従事者( caregiver )がいて、その回りに組織がある。その両方が相互に関係しているのです。ある病院が、臨床家に対して生命倫理的によい行為ができるようにスタッフを揃えていて、トレーニングをきちんとやっていて、そういう方針を持っている。

そうならば、その組織は倫理的にすばらしい組織と言えます。そこで働く医療スタッフが、倫理的にすばらしい行為が行えるような、方策・指針を組織が持っているからです。

組織がきちんとした方針を持っていれば、方針に従わないスタッフに対して、対応する事ができます。きちんとした方針がないと、対応がおろそかになります。例えば、方針や指針を持っている病院であっても、医師が方針に従わない、感染コントロールがきちんとしていなかったならば、それは「よい方針」を持っていない病院という事になりますから、是正する事ができない訳です。

医療従事者( caregiver )からみた医療組織とは、まずコミュニティーが必要とするサービスを提供する事が必要であり、儲かるからやるというのではいけません。2つ目は、インフォームド・コンセントに基づいた政策を持っている事です。必要な点検( monitoring )を行って、本当に実行に移されているかどうかを確かめないといけません。3つ目は、サービスの品質が大事で、支払いが可能だから過剰な事をするというのではいけません。患者のニーズに基づいて行う事が基本です。そして、継続的に品質をあげる、業務を改善して行く事が大事です。

いまいった事は個人のレベルでも言える事ですが、重要なのは、組織全体として、組織文化( culture )として、こういった事が出来るかどうかが大事です。

(つづく)