医療療倫理小委員会米国調査報告第6回、 Carol Tayler 先生のお話しです。
(承前)意思決定には3つのモデルがあります。一つは父親的温情主義(パターナリズム)というモデルで、医師が「これがいいですからこれをしましょう」と言ったら、患者さんは「はい、ありがとうございます」というパターンです。こういったやり方を是正しようということで、患者の自主的な独立性というものを考え、パターナリズムとはちょうど逆の、患者が全てを決めるというものです。患者が「私はこれがいいと思います」というと、医師が「じゃあ、そうしましょう」というものです。しかし、今のところ適当であろう、あるいは多くの人に受け入れられると考えられているモデルというのは、決定を共同で行うということです。
ジョージタウン大学の役割というのは、生命倫理について、きちんとトレーニングをするということです。また、大学病院に入院される患者さんの方にも、全ての方が生命倫理のコンサルテーションを受けることができます。
また、病院に勤務している医師や看護師も、倫理的な面で迷う事があったら、いつでもコンサルテーションを受ける事ができます。
相談は1年中入ってくるわけですが、3ヶ月に1度レポートを作ります。電話や相談があったのは何回だったか、その相談の内容の共通点は何かということです。そのレポートを生命倫理委員会の方に回して、病院をより一層正しく運営していくために、どういうところを直さないといけないかということを話し合うことになります。
南カリフォルニアに、いくつかの生命倫理委員会が集まった団体があります。そこでは、誰が意思決定をするかということが話合われています。家族がいない時に代理人はどうするかということが話し合われました。病院が指針として従えるような方針を共同で打ち立てよう、家族がいない場合の意思決定について、1つのポリシーを作り上げようということで、コンソーシアム( consortium)を作る動きがあります。
目的は州法を作ってもらう事で、まだ法案はできていませんが、そういう動きがあります。それはなぜかと言うと、医師が決定に関して責任を取りたがらないのです。なぜかと言うと、法律で訴えられる事を恐れていて、法律があればそれに従ってやったのだと言えるからです。
(次回に続く)