米国調査報告の第16回です。4月の診療報酬改定の対応で、1ヵ月ばかり作業が中断しました。5月頃には成果物を出版したいので、急ピッチで作業を進めている所です。
さて、今回は、弁護士でリスク・マネジャーのバートラム( Catherine Bertram )さんです。初めに、手術場での医療過誤に関するビデオ「 BEYOND BLAME 」を、辻本さんの同時通訳で鑑賞しました。
医療過誤をどう防ぐか、改善できるかをお話ししたくて短いビデオを見ていただきました。医療システムを考える時、色々なレベルの問題があり、違ったレベルで仕事をしている人が、安心して医療が行えるように、医療過誤を起こさないように活動をしています。
医療過誤を起こした時に、それを素直に認める事、隠さない事が大事です。
ミスをした人を責めたり、自分がやったんじゃないとごまかしたりしない。どうしたら医療過誤が防げるか、一つのエラーが次のエラーに続かないようなシステムを作っていかなければいけなりません。
私の役割は、ちゃんとしたチェックシステムを稼働させること、導入して行く事です。小さなミスが広がって現場のスタッフの負担にならないように、小さなエラーを見逃さない、セーフティーチェックを行うことです。
例を上げると、看護師が危険性の高い薬剤の投薬を行う場合、コンピュータで計算する訳ですが、ダブルチェックする仕組みをつくっておけば、リスクもエラーも防げる訳です。
手術室に於いては、手術の部位を消えないマーカーで医師が印をつけますが、患者にもこれでいいですかと確認を行う事により、確実になります。
また、安全のシステムが有効に機能しているかどうかを確かめる必要があります。患者に潜在的なリスクを与えずに、どれだけミスを事前にキャッチできたか、 good catch の数を数えて、システムがうまくいっているかどうかをチェックします。つまり、実際にミスが起きる前に防止できた報告については「ご褒美」をあげる(褒めてあげる)。エラーを犯した職員に対して罰を与えない、犯した結果に対しては罰則を与えない事が大事です。ただし、規則を破ってエラーを犯した場合は、規則を破った事に対して処分をしたり、注意します。
安全に関わる方針があるんですよ、こういう風にこの病院ではやっているんですよといっても、それを心底納得できるか、その通り振る舞えるかどうかとは別の問題で、何か起きてから身に染みるという事もあります。
(次回に続く)