アメリカで最先端の患者の権利を調査研究してきました(第18回)

米国調査報告の第18回です。リスク・マネジャーのバートラム( Catherine Bertram )さんです。

事故報告書やインシデント・リポートは、患者に被害がなくても出してもらいます。優先順位をつけるのに大変良く、技術面の問題なのか、システムの問題なのか、そういった事を探るためにリポートを使用しています。

人間は過ちを犯すものです、と書物の紹介をしてくれました。

人間は過ちを犯すものです、と書物の紹介をしてくれました。

米国の言い方で、ギシギシいっていたら、その音を聞いてよい方にもっていけるが、静かになると何も分からない。騒ぎだした時にやっとうまく行く、というのがあります。ですから、報告は必要なのです。

医療過誤に関わる医師へのサポートも重要です。事故に到らなくても、医師に対するカウンセリングを行います。何か問題があったとしても、その事だけで医師をクビにすることはありません。カウンセリングを行います。

同じように、医療過誤を行って訴えられた場合、 Bertram さんは(弁護士でもあるので)訴えられた医師のサポートも行います。医療事故は医師にとっても大変な苦痛で、統計によると、産婦人科と脳神経外科、救急部門、この3つが一番高い割合で訴えられる。一生医師をやっていると、3回から4回訴えられると言われます。

正直に本人・家族にいった方が良く、病院や医師と家族の間で解決について話し合って合意が得られたなら、それが一番安らぎのある方法だと思います。

ジョージタウンに来て4年になりますが、医師の中には以前居た病院でいた顔見知りの医師がいます。それで、報告がきちんと行われるようになったのでしょう。この病院は、雇われている医師が多いので、リポーティング・システムもうまくいったし、バートラムさんをチームの一員として見てくれているのだと思います。

注:米国の病院では、病院に雇われた医師と、契約により病院のベッドを利用している開業した医師がいる。

バートラムさん「ところで、日本では、看護師がミスをした場合、誰に報告しますか? 」

代表団「基本的には真面目ですので、必ず上司に報告します」

そこが少し違うと思ったのですが、米国では、直接の上司には言わず、関係のない第3者、中立的な立場にいる人にいう事になっています。その人は、職員の処分には関与しません。情報を受け取る、中立的な立場に立っている人が存在します。そこが違うかもしれません。

ジョージタウンにリスク・マネジャーは2人です。姉妹病院のワシントン病院(900床)には5人います。私たちの病院ももっとほしいですね。

(この項は終わり)