先月のNSTニュースに「噛むことが認知症予防につながる」という記事がありました。しかし今まさに、噛むことは高齢者だけの問題ではなくなってきています。
生まれたばかりの子どもは、上顎と下顎が噛み合っているわけではなく、下顎が多少うしろに引っ込んでいます。赤ちゃんからの発達の過程で、「吸う・舌を前後に動かす・舌で押しつぶす・噛む」という段階を踏みながら、下顎が発達し、上顎と下顎の咬み合わせも可能となります。そして、大人と同じ食事を食べられる咀嚼力が身についていきます。
しかし、今は歯ごたえのあるおせんべいよりもスナック類、ステーキよりハンバーグと「やわらか指向」の時代です。あまり噛まなくても食べられる食品に人気が集まり、よく噛んで味わうよりも、あっさり飲み込むことを好む傾向にあります。咀嚼力の弱い子どもが大人になると、噛まずに飲み込む食べ方になるそうです。丸飲みです。
嚥下能力も筋力もしっかりある時であれば、これも通用するかもしれません。
しかし、年齢とともに嚥下能力が衰えてきたとしたら・・・
噛まずに飲み込むタイプであれば・・・
考えてみると恐ろしいですね。
子どもの頃から、しっかり噛んで食べる習慣を身につけておくことは、
後々の嚥下能力維持につながります。
・小さく切り過ぎない。
・噛みにくい食べ物をプラスする。
・汁物で流し込まない。
・一緒にモグモグする。
少し改善する事で、「噛む力」を育ててみましょう。
☆また、よく噛んで、食べることは口腔内の舌の動きも発達させます。発音が未熟なお子さんの場合も効果的です。
リハビリST 田中景子