アメリカで最先端の患者の権利を調査研究してきました(第23回)

米国調査報告の第23回です。今回からは、ホスピス医療・緩和ケアを行っている、NHPCO( National Hospice and Palliative Care Organization )でのインタビューです。対応して頂いたのは、副代表のコナーさんです。

終末期の患者や家族に対する援助やケアについてお話しします。私たちの組織は非営利で運営されており、医師やホスピスで働いている医療従事者がメンバーとなって作っている組織です。私たちの一番重要な仕事は、疼痛緩和ケアを利用しやすくする取り組みと、ケアの品質を高める事です。

私たちの組織の活動は、社会的な変化や患者を巻きこんだ変化をもたらすものです。あらゆる人が終末期の医療を受けるにあたって、ちゃんとしたケアが受けられるようにすることが大事です。

ホスピス・緩和ケアセンターのコナー副代表

ホスピス・緩和ケアセンターのコナー副代表

緩和ケアの品質を高めるために、五つの方略があると思います。一つ目は研究を通じて臨床的な質や技術力を高めて行く事。二つ目はサービス提供者としての力を付けていく事で、主には教育を通じて力を付けて行きます。三つ目は患者の権利擁護(患者アドボケイト)の実践を行い、政府の政策決定に影響を与えて行く事。四つ目は、世界的に同じ様な趣旨を持った組織と協力していく事で、日本の組織とも交流があります。五つ目は、緩和ケアを利用する権利があるという意識を高めて行く事、消費者としての意識を高めて行く事です。

質をどう高めるかについてですが、米国内のホスピス全体からデータを集めて評価をします。患者の家族から、患者が亡くなった後どういう風に思っているかを聞き取ります。三ヵ月に一度データが集まって来るので、自分の所のデータを比較して、質が上がっているかどうかを考えます。ホスピスの設備や環境に関するデータも集めます。

私たちには、終末期の医療というのはこういうものでありたいというモデルがあります。患者や家族が実際に受けたケアを評価して、それに照らし合わせて、作ったものですが、重要と思われる4つの項目は、安全性、快適さ、自己決定、悲しみの捉え方( effect grieving )です。この4つを測るツールとして、家族がケアをどうみるか、患者どうみているか、患者が亡くなった後の家族の悲しみ、家族が受入れているか、そう言う点で評価をおこないます。

専門雑誌として、 Journal of Pain and Symptom Management (疼痛と症状の管理)があるので、それを利用しています。より一層よいケアを提供し能力を高めるために、定期的に総会を開いています。最近、スペシャルカンファレンスがあったばかりですが、参加者数は 2,000 人くらいです。また、パソコンを利用した遠隔教育、eラーニングをやっています。

(この項続く)