アメリカで最先端の患者の権利を調査研究してきました(第20回)

米国調査報告の第20回です。ノースウエストセンター( Northwest Health Care Center )の Joyce D. Jones 所長説明に対する質疑応答の抜粋です。

advance directive (事前指示)とは、リビングウイル(生前の意思表示)のようなものです。入所時に、DNRか、精一杯必要な治療を行うか、今は決められないのか、と3つの選択がありますが、入居時にソーシャル・ワーカー(SW)がお話を聞く時に明らかにします。

注: DNR ( Do Not resuscitate )とは、回復の見込みがない場合に、救命処置や治療を行わないこと。

米国では、例えば脳卒中の後など急性期の病院を退院すると、SNFに入所したり、通所で理学療法士や作業療法士のリハビリを受ける事になります。

ノースウエスト・ヘルスケア・センターの施設見学

ノースウエスト・ヘルスケア・センターの施設見学

ここの施設内には、アドボケイトはいませんが、SWが入居者の要望の代弁をすることになっています。利用者の苦情はSWが表に立って、臨床の現場のスタッフに意見を伝えたり、話をすることになっています。例えば、糖尿病の患者が甘いものを食べたいと言えば、大事なことは教育ですから、家族を含めて教育を行いますが、それでも聞いてくれない時は、少しゆるい食事でやっていきます。それでも患者の権利を主張するのなら、本人がしたくないと言っているということを文書にします。

米国には、リエゾン・オフィサーという存在があり、頻繁にベッドサイドを訪れ患者の様子を観察し、家族の方にもお話をして、状況をよく見た上で移行期にあたる施設を紹介して、こういうリハビリが出来ますよ、だから大丈夫ですよと説明を行います。こういう役割は、臨床のバックグラウンドのある人で、移行期の施設への入所において重要な役割を果たしています。ナースの資格を持っていて、医学知識・臨床経験が豊富なSWのイメージでよいでしょう。

退院時にはミーティングがあり、その中で、患者と家族に対して、家族の役割について説明をします。退院後の援助も大事です。

アルツハイマーユニットは(2005 年)8月から開始しました。医学的なプログラムより、ソーシャルプログラムを大事にしています。今ある身体的な機能を使って、いかに生活するかを重視しています。日常のあらゆる作業がプログラムに組み込まれています。壁にかけているものも古く、流れている音楽も 1950 年代の入所者の若い頃の音楽です。

アームバンド、2つついているのは徘徊者です。徘徊者用バンドをつけた人がエレベーターに乗ると近くの階で停止しドアがあくようになっています。

(この項、終わり)