私が行っている訪問診療は、病棟や外来で受け持ちだった患者さんをそのまま自宅でも診療を継続しています。
主治医だったことで治療経過もわかっているし、家族との関係や訪問看護などの連携も取りやすいところです。また、病状が悪くなった時などにすぐに入院できる体制がとれるので、そのときに入院できる体制が取れることが一番大きなメリットだと思います。
受診が難しい寝たきりの方、病院へ連れてこれる家族がいない方、介護施設に入所している方が中心です。筋ジストロフィーやALS(筋萎縮性側索硬化症)のような神経難病の人も10名程度訪問診療しています。人工呼吸器をずっとつけていないといけない人もいて、訪問看護との連携が大変重要になっています。
病院全体では90人くらい、私は20人強くらいです。毎週水曜日に内科看護師とペアになって訪問診療に行っています。
自宅での患者さんは、入院中とは違って、非常にいきいきとした表情で生活しています。病院にいると型にはまった病人とならざるをえないですが、家にいると自分のペースで生活でき、ある意味『余裕を持って生活できる』。そんな姿を見ることができるのは、訪問診療ならではと思います。
また、患者さんの家の立地や間取り、臭い、雰囲気などを五感で感じて、疾患のことだけでなく、深く患者さん全体を理解して診療することができるところにやりがいを感じています。
Sさま 68歳 男性(高松市太田町在住)
Sさんは幼少期より「水頭症」等を患っており若年期は障害者支援施設に入居されていました。病状が重くなるにつれて介護の必要性が高くなり、現在はヘルパーの資格を持つお姉さんと同居されています。
原田医師が訪問診療をおこなっている患者さん家族に「高松平和病院の訪問診療」についてインタビューをしてきました。
病状が重くなり外来通院が困難になった時、当時のかかりつけ医から訪問診療なら「若くて良い先生がいる」との事で高松平和病院の紹介を受けました。
高松平和病院は他家族も受診した事があり「親切で優しい病院」との印象が当初からあったので抵抗はありませんでした。2014年から訪問診療を利用しています。
訪問診療は月に2回来てもらっていますが、その他に香川医療生活協同組合の関連施設から「訪問看護」「訪問リハ」「訪問歯科診療」を受けています。それぞれ情報共有し相談して私たちのケアをしてくれていると感じます。
特に週3~5回来てくれている訪問看護師と原田医師との連携が取れている事や休日でも訪問して下さるのが安心につながっています。
病気だけでなく患者本人の生活背景や生い立ちを含めてよくみてくれています。
また患者だけでなく付き添い家族の私自身の、在宅看護に役割などを真剣に考えて下さいます。今思うと、何気ない会話の中からケアに必要な情報を先生は聞きとっているのだと思います。最近意思疎通が難しくなった弟にも声掛けやスキンシップをとってくれます。以前、明け方なのに様態の悪い弟の為に点滴に来てくれた事がありました。医師といえば堅苦しいイメージがありますが、原田先生は話やすいし私達姉弟にとっていて下さらなければ困る存在です。
毎日原田先生に感謝しながら生活しています。