2013年初めてのNSTニュースとなりました。新しい年が始まりもうすぐ東日本大震災から2年が経とうとしています。2年の月日が経っていますが、被災地ではまだまだ復興できていない、安心して暮らすことができない地域もあります。メディアではあまり報道されていませんが、みなさんは「災害関連死」という言葉をご存知でしょうか?
「災害による火災・水難・家屋の倒壊など災害の直接的な被害による死ではなく、避難生活の疲労や環境の悪化などによって、病気にかかったり、持病が悪化したりするなどして死亡すること。(震災の場合は震災関連死ともいう)」を言います。
平成24年8月の復興庁の「東日本大震災における震災関連死に関する報告」では、平成24年3月31日現在で1,632人が関連死とのこと報告です。死亡時年齢では66歳以上が約9割、死亡時期では発災から1か月以内では約5割、3か月以内では約8割とのことです。原因となるものは、「避難所等における生活の肉体・精神的疲労」、「避難所等への移動中の肉体的・精神的疲労」、「病院の機能停止による初期治療の遅れ」等が挙げられています。
避難所生活では高血圧や不眠症、誤嚥性肺炎、廃用症候群(生活不活発病)エコノミー症候群(深部静脈血栓症)を招く危険性が高いとされています。
これらの中の関連死の一つでもある誤嚥性肺炎では、食事が取れずに嚥下能力が落ち、断水等で歯磨きや入れ歯の手入れができず口腔内環境が悪化し誤嚥性肺炎を発症し、死亡する例が高齢者に多かったとのことです。日本歯科医師会をはじめ日本言語聴覚士協会でもこの問題を重く受け止め、口腔ケア用品の支援や口腔ケア指導等を行ってきました。また、現在では大手の口腔ケア用品会社のコマーシャルでも「災害時におけるオーラルケア」として大きく取り上げられ、オーラルケア用品が命を守り続けるために重要な防災用品の一つであるということを伝えています。
私たちが何げに毎日行っている歯磨きは被災地の人にとっても大事な事です。たかが口腔ケアと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、されど口腔ケアだと私は思いました。
リハビリ科 穴倉
今後の予定 2/21~22 日本静脈経腸栄養学会 吉原看護師長発表
3月30日(土) 13:30~15:00 第17回NST公開学習講座