アメリカで最先端の患者の権利を調査研究してきました(第30回)

 日生協医療部会・医療倫理小委員会の米国調査報告も今回で第30回、後少しで終了です。しかし、時系列で並べると前回で終了という事になります。

実は、最初の日の午後に行った Northwest Health Care Center で理学療法士として働いている、市原(いちはら)さんに随分お世話になりました。最初の日に米国の医療システムのアウトラインと、米国医療の抱えている問題点について、現場の医療従事者としての意見を伺いました。このレクチャーが、私たちの調査を大変豊かなものにしてくれたと思います。

ホワイト・ハウスの前で (集合写真を取りたがるのは日本人だけではありませんでした)

ホワイト・ハウスの前で(集合写真を取りたがるのは日本人だけではありませんでした)

この連載では、ここまで、米国の医療のいわば「光」の部分について報告を行って来ました。患者の権利が人種に関わらず大事にされている事、貧富の差も何とか解決しようとする努力がなされている事、とりわけ「お金が払えなければ仕方がない」と寄付を積極的に受入れ経営的につじつまが合うように処理している姿は、私たちの描いていた米国の医療像と異なっていました。

米国の医療、とりわけ「金の切れ目が命の切れ目」といった内容は、李啓充さんの「アメリカ医療の光と影」(医学書院、2000年10月)、三浦清春さん(医療部会運営委員)の「市場原理のアメリカ医療レポート」(かもがわ出版、2003年8月)に詳しく描かれています。市原さんの話からも、米国の医療の実像を垣間見る事が出来ました。

米国の医療と日本の医療の最大の違いは保険制度にあります。米国では公的な保険と呼べるのは、メディケアとメディケイドだけです。

Medicare(メディケア)は、65歳以上の老人や障害者・腎透析患者を対象に連邦政府が運営する医療保険で、3800万人が加入しています。Medicaid(メディケイド)は低所得者のための保険制度で、基準は州により異なりますが、4人家族で年収180万円以下の世帯など貧困世帯が対象になり、3200万人が加入しています。民間医療保険に加入しているのが1億9900万人、残りの4100万人余り、実に国民7人に1人が無保険状態で放置されています(数値は2001年のもので、三浦さんの著書を参考にしました)。

20才代の無保険者は2000年から2004年にまでの5年間で250万人増加し、1370万人になり、深刻な問題になっています(6/13付「しんぶん赤旗」)。

このデータを頭において、次回からの連載をお読み下さい。

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