米国調査第25回です。今回は、ホスピス医療・緩和ケアを行っている、NHPCO( National Hospice and Palliative Care Organization )でのインタビューです。副代表のコナーさんのお話の続きです。
米国のホスピスの歴史をお話ししましょう。 1973 年に最初にコネティカット州にできました。我々の組織ができたのが 1978 年で、 1979 年に初めてホスピスの標準書を作りました。その後政府が臨床研究を行い、 1980 年にメディケアで試験的なプロジェクトを立上げました。政府がこれを行った事がきっかけとなり、全米にホスピスが広がっていきました。
この研究以外にも、さまざまな研究やプロジェクトが立上げられました。 2000 年に、NHO( National Hospice Organization )から、 palliative care を入れた今の名前( NHPCO )に変えました。 2004 年には、ホスピス以外の疼痛管理の標準書を作りました。
2004 年には、ホスピスの患者は 100 万人を超えています。ホスピスのサービスのある所( locations )は 3,600 以上で、病院の 25 %つまり 1,200 病院が何等かの形で疼痛緩和のプログラムを行えるようになっています。
2,000 人位の医師が、疼痛緩和治療の資格をもち認証を受けていますし、米国内科学会でも疼痛緩和の領域はサブスペシャルとして認識されているので、医師にとっても重要な資格となっています。 7,000 人以上の看護師が疼痛緩和の分野での認証を得て資格をもっています。
問題は、誰がホスピスケアを必要としているかという事です。米国では毎年 240 万人の方が亡くなりますが、疼痛管理あるいはケアが必要なのは 70 %くらいいるではないかと思います。ガンや慢性の内蔵疾患、高齢者が多い訳ですから、そういう人が疼痛緩和の対象になりうるのではないかと考えています。
疼痛ケアが必要でない人と言うのは、感染症やHIVを除くと、脳卒中や突然の事故という事になります。現在は亡くなっていく方の 30 %くらいしか、疼痛緩和ケアが提供されていません。 1985 年には 1,500 位のホスピスサービスを提供するところがありましたが、今は2倍以上の 3,600 をこえるようになっています。
ホスピスサービス提供者のうち2分の1は独立した存在です。約 30 %は病院に付属、約 20 %が家庭でのサービスを提供する所、そして1%がナーシングホームです。昔は非営利が多かったのですが、最近は営利のホスピスが増えてきています。昔は白人が主に使っていましたが、今では様々な人種の方が利用するようになっています。それでも 77.5 %が白人ですが。
(この項続く)