アメリカで最先端の患者の権利を調査研究してきました(第29回)

米国調査第29回です。今回は、ホスピス医療・緩和ケアを行っている、NHPCOのキャシー・ブラントさんです。

(前回の続き)これらの経験を通じて、この9ヵ月間、事前指示の重要性をみんなが知るようになりました。我々は事前指示を書くにはどうすればよいかという事を教える無料サービスを行っています。内容は栄養チューブ、輸液、ホスピスなど、終末期にどうすればよいかという事についての助言を行っています。ウエブサイトもヒットが多く、3月に始めて既に150万人が利用しています。

大学のキャンパスや公園にはリスが沢山いました (記事には関係ありません)

大学のキャンパスや公園にはリスが沢山いました
(記事には関係ありません)

地域に対する教育も行っています。我々は、生きると言うのはこういう事だと言う、キャンペーンを行っています。死ぬという言葉よりも、生きる事に注目しています。

コミュニティーの教育やキャンペーンは、いろいろあります。ある地域の事もあるし、特定のグループの事もあります。さっき電話があって、30人のグループがあって、ハイスクールで広めたいので、という事でした。

ホスピスによっては、学校と提携している事もあります。親が死んだ時に悲しみを乗りこえるためのカウンセリングや、ホスピスによっては学校からボランティアが来ていることもあり、それで近づけて行くと言うのもあります。

事前指示の法制化についてですが、米国州法では、カレンさんの頃、事前指示が有効だったのは、カリフォルニアとテキサスだけでした。ナンシーさんの頃になると、自己決定権が重要だと言うので、患者の自己決定権法が出来るようになりました。今ではすべての州で、事前指示があればそれが有効です。ただ、州によって書式が違うので、転居したら書き換えないと行けないかもしれませんが、WEBで各州の書式が載っているので、それを参考にすればよいようになっています。

(この項おわり)

注: Theresa Marie Schiavo 事件 1990年拒食症の治療のための薬剤による副作用で、41才のテリ・シャイボに心停止が起き、脳に重大な障害が残った。栄養チューブの取り外しをめぐり、夫と両親の間で対立が起きた。夫は「植物状態になって生きたくはない」と本人が入っていた主張した。2003年には夫の主張を認め栄養チューブが外されたが、6日後にテリの延命を目的とする通称「テリ法」が成立し、再度チューブが挿入された。その後、「テリ法」の違憲判決、ブッシュ・フロリダ州知事、ブッシュ大統領、州議会、連邦議会も巻き込む事態となった。