アメリカで最先端の患者の権利を調査研究してきました(第26回)

米国調査第26回です。今回は、NHPCO( National Hospice and Palliative Care Organization )でのインタビュー、コナー副代表のお話の続きです。

ホスピスサービスを利用する方の疾病でみると、 20 年前は殆どガン患者でしたが、今は2分の1以下になりました。その他は、心疾患や認知症、肺疾患、脳卒中、昏睡状態などで、AIDSが1%くらいです。

患者の 50 %は自宅で亡くなります(全ての死亡で見ると自宅死は25%)。ナーシングホームが 23.5 %で、支払いはメディケアが殆どです。

ケアの質をどこでみるのかというと、要望や家族のニーズにあっているかどうか、患者の状況についてコミュニケーションをとっているかどうか、患者の状況にあった適切な処置を取っているかどうか、精神的な不安や呼吸に医学的な処置が取られているかどうかなどが評価項目です。

ホスピス・緩和ケアセンターの missionとvision

ホスピス・緩和ケアセンターの
missionとvision

蘇生の問題ですが、通常は蘇生することはありませんが、病院に戻ると蘇生が行われることもあります。国際的にも終末期がどうあるべきかという事については、大体合意に達していると思います。1番目は苦痛を伴わない、快適であるという事、2番目は患者の宗教的あるいは霊的、精神的に安定した状態を保つという事、3番目は、患者も家族も十分な情報をもつようにする事です。その事により、患者や家族が状況をコントロールする事ができます。患者だけでなく、家族の精神的、宗教的、社会的なニーズにも答えないといけません。

サービス提供者が切れ目のないサービスを提供する事も大事です。患者が死亡した後、家族が心の折り合いをつけられるようにする事も、我々の重要な役割です。

予後6ヵ月と診断するのは、患者の主治医です。ただし、ホスピスの責任者も合意しないといけません。保険については、高齢者はメディケアにはいっていますから、最初からメディケアで支払われます。子供の場合は、親の保険かメディケイドを利用しますが、多くのホスピスでは無料にしています。本当にお金がない時には、ホスピスが負担しています。その資金は、チャリティや地域で集めます。患者が亡くなった時に、お金持ちなら家族がたいてい寄付をしてくれます。

ホスピスの利用者が、ガン患者から他の疾患に広がって来たのは、これは推測ですが、他の疾患で死ぬ人が増えたからではないでしょうか。ガン患者の60%はホスピスで亡くなっています。ホスピスサービスを利用するには、自分でサインをする事になっているので、予後6ヵ月であるという認識が出来ています。 12 %は生きてでていきますが、統計的にはホスピスに1回入った方が長生きするというデータもあります。

(この項終わり)